第一昭福丸
次世代型の遠洋まぐろ延縄漁船

臼福本店では、令和2年2月に新船「第一昭福丸」が竣工の運びとなりました。 「人が集まる船」をコンセプトとし、伝統ある日本のまぐろ漁業を次の世代につなげていきたいと願う私たちの想いを形にした船です。


〜第一昭福丸竣工式 〜
株式会社臼福本店 代表取締役社長 臼井壯太朗 ご挨拶 (令和2年2月5日)

本日は御多忙中のところ、日頃より、公私ともに、大変お世話になっております皆様方に、遠方からも多数ご臨席を賜りましたことに、会社を代表いたしまして心より御礼を申し上げます。 また、新船第一昭福丸を建造するにあたりまして、弊社の新たなチャレンジに賛同をいただき、様々な無理難題に対して向き合い、こうして新たな船を竣工していただきました、吉田会長、木戸浦社長をはじめとする、みらい造船のみなさま、内外装を担当していただきました、nendoさま、乃村工藝社さま、長崎船舶さま、そして甲板から機関部まで、ご協力をいただきました関係各社、すべての職人の皆様方に、改めまして、心からの敬意と感謝を申し上げます。

もうかる漁業のプロジェクトを立ち上げましてから、4年と2か月。時間はかかりましたが、おかげ様で本日竣工の日を迎えることが出来ました。この4年の間、私たち日本の遠洋まぐろ漁業者が行ってきた厳格な資源管理の成果もあり、大西洋とインド洋のまぐろ資源は回復傾向となりましたが、肝心の船を動かす乗組員は、まぐろ資源とは逆に減少をし続けおり、このままでは近い将来、各社労務倒産を起こしかねない、そういった危機的状況にもなってきております。せっかく資源が増えてきても、その魚を取ってくれる船員さんたちがいなければ、船を造る意味がありません。いま私たち日本まぐろ漁業は、過渡期にきています。若者は田舎を離れ、人はどんどん少なくなっており、漁業への就業者は年々減少しつつあります。どうにかして、このような状況に歯止めをかけていかなければなりません。 

伝統ある日本のまぐろ漁業を次の世代へ繋げるために、まずは目の前にある問題を一つ一つ解決していく必要があります。私たちがこれからやらなければならないこと、若者が参入しやすい、魅力ある産業へとこの漁業を変えていくこと、ヨーロッパ諸国のように日本の漁業も成長産業へと変えていかなくてはなりません。今回の第一昭福丸のコンセプトは、人が集まる船です。長い洋上での生活を、ストレスなく、出来るだけ陸上に近い環境のなかで、安全で仕事がしやすい、より暮らしやすい、この船に乗ってよかったとみんなにそう思ってもらえるような、若い人たちにも、この船に乗ってみたい、ここで働いてみたいと思ってもらえるような、そんな想いのもと、みんなで船を造ってまいりました。

ブリッジ 船頭室

陸上並みの高速のインターネット環境を整備することで、洋上でも携帯で通話ができたり、インターネットTVで好きな番組が見れたり、TV電話を使った医療診断も可能になるはずです。また、SNSを活用し、沖の情報を発信することで、一般の方々にも漁業への理解を深めていただくことが出来ると思います。

震災後に知り合えた友人たちにもご協力をいただきました。世界的デザイナーに監修をしていただいた船内空間で、陸上にいるような緑の香りを感じていただきたく、ダクトにリラクゼーション効果のあるエアアロマも設置させていただきました。いままで漁船にはなかったものを、新たに取り入れることで、人が集まる、魅力ある環境を作れたのではないかと思います。また会社としても、船を造っておしまいではなく、船が釣ってきた魚の価値を高める活動、差別化を図る活動も引き続き行っていきます。MSCやMELなどの国際的な資源認証にもチャレンジをし、持続可能な漁業を目指し、トレーサビリティが明確な流通を確立させるための行動をします。食の大切さを伝えるために、子供たちへの食育事業も継続して行ってまいります。他にもいまやるべきことを考え、陸の社員一丸となって、未来を見据えた活動を実践していきたいと思います。人が集まる産業へと変えていくために、私たちも沖の乗組員たちに負けないよう、精一杯努力していきたいと思います。

サロン 通路及び通信長室

本日は、引退した弊社の先輩方、私たちを育ててくれたOBの方々にもご臨席をいただいております。 先輩たちから受け継いだものを、いまを預かる私たちが責任をもって、次の世代へと繋げて行く所存でありま す。 かつて世界一だった日本のまぐろ漁業を、もう一度世界と闘える漁業にするために、いまやるべきことを実践 してまいります。 先輩方に於かれましては、どうかこれからも、ご指導ご鞭撻の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

最後になりますが、本日お集まりの皆様方のご健康とご多幸、沖で働く各社各船の航海の安全と、大漁をご祈 念申し上げまして、簡単ではありますが、私からの挨拶にかえさせていただきたいと思います。本日は誠にあ りがとうございます。


第一昭福丸 紹介動画

撮影・編集:塩見徹(Shiomi Toru)



メディア掲載情報

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・日刊水産経済新聞(2019.11.27)
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