私がいま、漁業に携わる者のひとりとして強く感じているのが「“食”の大切さ」です。
その裏で働く第一次産業従事者、それを支える人たちの誇りをあらためて訴えたい。
東日本大震災の折、まず食に助けられ、食に携わり続ける自分たちが行動し、発信していくべきだと考えています。
10年ほど前から、漁業を取り巻く状況は大きく変わりました。
原油は高騰し、漁価も低迷、後継者も不足しています。
このままでは、日本の生産者もマグロ資源も減り続けてしまいます。
臼福本店は、明治15年(1882年)に創業した、142年の歴史を持つ漁業会社です
昔は近海船、遠洋の鰹漁船、北転船を手がけていましたが、先代から遠洋マグロ漁業一本に切り替えました。
船が出航してから最終目的地のケープタウンやラスパルマス基地に到着するまで、約1年半。
厳しい仕事をしているのは、言うまでもなく沖で働く乗組員です。
彼らはもちろん、その留守家族を含めた陸をしっかり守り、
伝統漁法であるマグロ延縄漁業を、次世代へ繋げることが、臼福本店の役割です。
震災後あらためて、食の大切さ、エネルギーの大切さ、そして人のつながりの大切さを感じました。
年齢も関係なく、多業種の方々と手を携えることが、
被災地の復興だけでなく漁業の復興、日本全体の復興につながるのではないでしょうか。
そのカギが、気仙沼そして東北の第一次産業の復興にあると私は信じています。